negative capability
専門性にある正解への確信を疑問にかける。
専門性とは、バイアスであることも多い。
特定の領域や見識における正解が、他の領域や見識においては正解ではないこともあるし、
素人である個人の見解より優れているとは限らない。
正しい解があると思っていて、それを知っていると自負する人は、考えるということができていないかもしれない。
特定の枠組みから思考が自立できていないから。
何らかの解を出す特定の回路が出来上がってしまっていて、そこに影響を受けないような考え方ができないから。
正しい解を持っていると自負している人には、意見とアドバイスの違いがわからないかもしれない。
意見とは、相手が自分で考えることを尊重した上での抽象的なもので、
アドバイスは、相手の行動を規定する具体的なもの。
だから、イノベーションを起こすべき場や教育、人の相談に乗るようなことに従事している人に一番大事なことは、素人性を残しておくことなのだと思う。
自分の立ち位置への客観性。
それがなければ、一方的に自分の解を正しいと信じて押し付けていることへの気づきもないし、別の立ち位置の人との対話も生まれない。
考えるという営みは、やはり、キーツの言うネガティブ・ケイパビリティ、不確実性への耐性を基礎にした不断の知的努力であり、主観を覆し続けるメタ認知能力の更新だと思う。
正しさではなく、最適化を求めることのできる力。