rendez-vous
今日のデートのお相手は、私が大好きな女性。
最後に会ったのは、3月初旬。
外出制限が発令される一週間前のこと。
その時も花束を作ってもらったのだけれども、デモがあって、トラムが走らず、タクシーに乗るも、道が混んでいて、結局30分以上も遅れて到着したのだった。
その時に、ヘルツェゴビナ出身の運転手さんと話したことは忘れない。
あれから世界は随分と変わった。
ご近所にある日本食レストランにお寿司を届けてもらい、一緒に食事をする。
あれこれ話す。
4時間ぐらい話したのかな。
音楽家の方はお礼状とか、メールとか、全然きちんとしていないのだと笑っていた。
時間の流れの感じ方とか、コミュニケーションのあり方は仕事によって違うものなのかもしれない。
ウィーン・フィルのあの人たち、今、どうしているのかしらね、と心配されていた。
中止になったコンサートやオペラのチケットがテーブルの上に何枚も並んでいた。
街はすっかり以前の日常に戻っているのに、戻らない部分の大きさよ。
あなたもウィーンでずっと暮らしていくでしょう?Wahlheimatになったでしょ?と言われる。
一月に友人の紹介で会った台湾の占い師の人には、まだまだ移動し続けると言われました、と半分冗談で伝えたら、笑って、ここにいなさいよ、と言われる。
2回、日本の大学から准教授のポストのオファーをもらい、その都度迷っていた時も、あなたはこちらの人間よ、あなたみたいな人は日本ではいじめられちゃうわよ、私も随分色々な人に会ってきたけれど、あなたみたいな人は初めてだもの、あなたは才能で生きていく人だと思う、こちらで思う存分頑張りなさいよ、と言われて、泣いたり、笑ったりして、しまいには夜食まで作ってもらい、カルロス・クライバーの話などを聞いたりして、夜遅くまで話しこんだのだった。
なぜか、男性から人気があると思っていただいているようなのだけれども、いえいえ、あなた様ほどでは、というような話をして笑う。
普段、こういう話は好きではないのだけれども、この方とのこういう話は楽しい。
この方と話している時が、一番、女性として私らしくいられる。
知っていること、考えていること、感じていること、疑問に思っていることをなんでも話せて、屈託なく笑いあえて、女性としてのいろいろな生きにくさなども理解してもらえる。
会えてよかったと心から感謝する。
今日も良い一日でした。