Mary Poppins
出張がなくなり、週末が週末に。
ランチの約束をしていたので、春らしいお花を用意するもトラムが来ない。
デモがあったから。
しばらく待って、あまりに遅れそうだったので、タクシーに乗る。
しかし、タクシーも動かず。
ただ、タクシーの運転手さんといろいろ話せたのは良かった。
政治の話とか、ウィーンの話とか。
彼は、ヘルツェゴビナから来たのだそう。
渋滞にはまって、遠回りをしたので、運賃が少し上がってしまったのだけれども、
「こんなにもらえないよ。あなたとの話は楽しかった」と言って、運賃を下げてくれた。
その上、私の道案内が悪く、曲がるべきところを過ぎてしまい、一通の道路ばかりだったので、目的地より少し離れたところで降りようとしたら、歩くよりも車の方が早いよ、と言って、運賃を払ってからも運転してくれて、目的地近くまで送り届けてくれた。
車から降りるときも、とても温かい言葉をかけてもらう。
一期一会と言うけれど、この運転手さんのことは忘れないように思う。
何か不思議な時間だった。
ランチの約束をしていた方とは、5時間話す。
主に、ベートーヴェン、マーラー、ブルックナーについて。
大人の女性とは、大人の男性とは、というような話もする。
あとは、音楽の世界のことなど。
話をするというより、話を聞く。
途方もなく、厳しい世界なのだろうと想像する。
私たちは聴衆として音楽会に伺うだけだけれども、舞台裏のことや音楽家としての日常を想像すると果てしない。
お花を喜んでもらえて良かった。
今日は、チューリップと薔薇のグラデーションで花束を作ってもらった。
花束を作ってもらうのは好き。
お礼にとその方が以前に出されたCDを頂く。
それからVolkstheater、国立図書館、国立歌劇場を抜けて、帰宅。
何だろう、この変化。
確実に何かが変わってきているけれど、とらえどころがない。
良いことでも、悪いことでも、真実を知った方が良い。
空ばかり眺めながら歩き、ゲーテの像の前で少しだけ立ち止まり、今、私の知りたいことについてサインが欲しいです、とお願いする。
クライスラーは、耳が聴こえなくなるのと、目が見えなくなるのでは、目が見えなくなる方が嫌だと言ったそう。
音はもう彼の頭の中で鳴らせることができたから、ということなのだけれども、目のことは忠告だなあ、と思う。
写真は、なぜか脈絡なく見つけたメアリーポピンズの看板。
私が一番好きな、理想とする先生。