Abschied
クリスマス直後にある方が亡くなりました。
つい最近知り合った方で、親しくはなかったけれど、なぜか深く話す時間を一度だけ持ち、これから親しくなれる予感のあった方でした。
物理学の教授で、一緒にあることに関して仕事をしたいね、と話していた。
享年81才。
彼と共通の知人とクリスマス直前に仕事で出かけた先で、ドップラーの生家を通り過ぎたので、そのことを彼に知らせたいね、と話していた。
彼は本当に良い人だよね、と話していたのだ。
クリスマスの日にもなぜか彼のことを思い出していて、知人がクリスマスに彼にメールを出したところ、その二日後に奥様から返信があり、その日に亡くなったことを知った。
死亡告知が出される前の、亡くなったその日の夜に。
その最期のご様子から、ご病気を患っていたのだろうと推察したけれども、ご家族の方にとってもあまりに突然のことだったようで、それほど親しくはなかったはずの私ですら頭の上に石が落ちてきたようなショックを受けた。
今日がお葬式の日だけれども、オーストリアであっても、ウィーンからはあまりに遠くてお葬式の時間に間に合わない。
知人とお墓まいりに行くことを奥様に伝える。
深く話した時間に言われたことの一つは、「生涯、現役でいることが大事だよ、そういう仕事をするんだよ。そういう生き方がいいよ」ということ。
それと「いろんなことに興味を持ち続けるんだよ。物事を観察する視点はたくさん持っていた方がいい」。
彼は、その通りに生きていた方で、数ヶ月前には大阪の大学の紀要に自分の専門ではないテーマで論文を寄稿していた。
オーストリアの物理学のある大きな学会の理事長を務めていて、きっととても偉い方であったはずなのに、私とも完全に対等に友人のような近さで話してくれた。
そのことを忘れないだろう。
今日は、ウィーンの教会で彼にお祈りを捧げます。
あなたに会えて、良かった。