Wien
テレビのお仕事の話など。
ある方と8時間ぐらいおしゃべりをする。
遠慮がいらないというのは、本当に楽。
いろんなことが同じくらいだと、楽にコミュニケーションが取れる。
この方は、ただひたすらに良い演奏ができるようにと音楽と向き合ってきた人。
お互いに一人の世界を生きている人とは、話すことが楽しい。
何より、私の非常に突出しているある特性だとか感覚について、すんなり受けいれてもらえる。
音楽と、数字と、言語は、共鳴している。
星の王子様の世界と同じ。
それぞれの惑星に一人で住むもの同士だからこそ、話せることがある。
地球で大勢で足並みをそろえて、人間として生きることがアウェー。
わかりやすく存在するということに多くのエネルギーを費やしている。
でも、迎えが来るその日まで、この星での滞在が続くのだから、
滞在を楽しめば良いのでは、とふと思う。
地球で人間として生きているというのは、旅。
この感覚は、子供の頃から変わらない。
ここは、自分の居場所ではない。
どこにも自分の故郷だと感じる場所はないし、いつだって、別の惑星からやってきた異星人のような感覚で、地球を旅している。
その感覚が欠落感のようでもあり、何かへの郷愁に強く囚われると、酸素の少ない水のなかで呼吸困難に陥った魚のような気持ちになる。
でも、その欠落感があるままに、そのままに、それを変えようとしないで旅を楽しめば良いのでは、と思いながら、歩いた道。
ウィーンという街があって、良かったと思う。
世界のいろいろな街を旅したり、住んできたけれども、私が知っている街のなかでは、この街が一番、楽天的。
素敵な街はたくさんあるけれども、シリアスになれない自分には、この楽天的な空気が呼吸しやすい。
過去と現在が調和していて、知的で、寛容、人々の多くが自分の欲求や希望、良心に忠実に生きることができて、満ち足りている。
地球で生きることは、楽しくていい。