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先日、紅の豚のジーナみたいな方とお話ししたときのこと。

その方とは日本語で話すのだけれども、言葉でニュアンスが随分変わることに改めて驚いたことがあって。

実は、6月にパリに行った時に、地下鉄の駅で「ピックポケット(スリ)」の被害に遭いそうになったのでした。

地下鉄に乗っていた時点で、何か気になる若い男性がいて。

音楽を演奏している人を口角を上げて見つめていたけれども、全くこころの動きが読めない人がいたのでした。

口角が上がっているから笑顔に見えるけれど、笑っているようには到底思えず、何かの心の病を患っているのかな、とまで思っていたのでした。

降りる駅が来たので、降りたところ、その人も降りて。

平日の午後。

人はまばら。

わりと広い構内で、出口(通りの名前)を確認しながら、歩いていたところ、正反対の方向に向かっていることに気づいて、方向転換。

きびすを返したその瞬間に、私の右ひじがその男性にぶつかって、慌てて謝ったのだけれども、

その距離感の気持ちの悪さにすぐに気づいたのでした。

私の右肩にはバッグ。

まず、全く気配を感じなかったことに驚いて、

そもそも、広い構内で、こんなに近づく必要がないことにも気づいて、そういうことか、と。

幸い全部が閉じるタイプのバッグで、手を差し込めるような構造ではなかったので、

被害には遭わなかったのですが、その気持ち悪さといったらなかった。

その話をパリの治安に関する一つのエピソードとして紅の豚のジーナみたいな方に話したら、

ああ、それって魔法ね、と。

魔法使いの訓練を受けているのよ、と。

「魔法使い」という言葉の意外さに面白さを感じていたら、

ねえ、それにしてもあなた、最近、魔法使い、ご覧になる?

昔はよく見たのよ。

すごいのよ、あの人たち、何をやっているのか分からないんだから、相当訓練を受けているのよね、

そういう見事な技を、悪い事に使う人もいるんだわ、きっと。

と。

それで「マジック」のことだと理解したのでした。

確かに「ピックポケット(スリ)」というマジックはあるようだし、

マジックは日本語だと魔法という意味もあるし、昔はマジックを手品ではなくて、魔法といったのかも、と思いながら、言葉一つで、こんなに受け取るニュアンスや見えてくる映像が変わることに新鮮な驚きを覚えたのでした。

「ピックポケット(スリ)」を魔法使いとは呼びたくはないけれども、

でも、そう呼んでみると、彼らの黒い職人根性が浮かび上がってくるような気もします。

物は言いよう、ですね。

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