Billie Jean
不思議な踊りを踊っていた女性のことを思い出していたら、この映像を思い出した。
マイケル・ジャクソンのビリー・ジーン。
もっと若い頃は、テンポも早くて、空気を切るように踊っていて、それはそれで変わらず天才な感じなのだけれども、ここに至ると鬼才の域に入るというか、別の次元に進んでいたように思える。
観客とのコミュニケーションのあり方が全然違う。
会場の雰囲気が、おかしいんだよね。
昨日の女性も何かを動かしていたようだったけれども、このマイケルも何かを動かしている感じ。
歌詞だけ聞いていると泣くような歌には到底思えないのだけれど、
映像には泣いている人も映されているし、何かもう、すでに神々しかったのだと思う。
引きつけて揺さぶる力の大きさが、彼の才能の大きさの表れだったのだろう。
大きくVの形で前が開いている白いTシャツを着て、動いているマイケルを見ていると、
この頃のマイケルは、あらゆる方向へ、どうにもならない魅力を放っていたのではないかと想像する。
その才能と美貌と成功と人柄ゆえに、ややこしいことが沢山あったのではないかな。
この人の磁界に入ってしまったら、ただでは済まなかったような気がする。
幼少期の出来事が、彼の人生に暗い影を落としていたと言われている。
何に喩えて良いか分からないのだけれど、
子供の頃に、大きめの石が身体の中に入ってしまい、それとともに成長し、いつしか取り除けないものになってしまったというようなイメージがある。
筋肉とか神経とか、そういうものが、その石を内包したかたちで発達したから、
その石だけを取り除くことはできないほどに癒着して、身体の一部になった。
彼が子供の頃に経験したと言われている出来事は、彼の人となりにおけるそんな石のようなものだったのではないかな。
スターとして歩んだ道の特殊さと、その「石」の存在からすれば、彼の寿命は妥当だったような気がする。宿命とも言えるぐらいに、最初から決まっていたような気がする。
今年で彼が亡くなって10年が経つらしい。
音楽の世界のことはよくわからないけれど、彼のパフォーマンスを見るのは好きだな。
他の何にも、誰にも似ていないって、すごいことだよね。
よかったら、この映像見てみてね。
なんだか、すごいから。